業界初・年中開花実現への道

創業当時、胡蝶蘭はお客様に一年中供給する栽培技術が業界全体にありませんでした。

当時は、秋になると花芽が出て、冬の一月二月に咲くという自然のリズムのみで胡蝶蘭を開花させており、それ以外の時期の供給量は非常に少なく、今では信じられないほど高額な価格でしかお客様の手にお届けできない状態でした。

アメリカの研究者の論文では、低温で花芽が出るということを紹介してはいたものの、世界的にも実用化している生産業者はいませんでした。
また、日本でも、夏の暑い時期に、胡蝶蘭を気温の低い高冷地(軽井沢・戦場ヶ原等)に持っていき花芽を咲かせる生産者もいましたが、開花を安定させるにはまだまだ不十分でした。

森田洋蘭園創業者森田康雄は、商品として成熟したものにするには、一年中供給できるようにしなければいけないと考え、創業当初から開花を自由にコントロールすることに挑戦していきました。

森田洋蘭園では開花コントロールをするために、まずやってみたのがビニールハウスに冷房機を入れることでした。
夏、暑くなった時期に、冷房することで、低温にし、花芽を出そうと考えていましたが、実際にやってみると2割くらいしか花芽が出ません。

その翌年、夏で気温が高くなった後、秋に気温が低くなり冬に開花することに着目し、2ヶ月は高温を維持して、それから低温にすることを試したところ、一斉に100%の花芽を出すことに成功。高温の後に低温にすることで、胡蝶蘭の開花調整を実現したのです。

その後安定した出荷をするためには、最低2週間に1度の開花コントロールをすることが必要でした。これまでは部屋ごとに管理していたため、理論上は1ヶ月に2部屋でコントロールし、24部屋必要でした。そこを効率的に管理するために、常時高温の部屋と、常時低温の部屋を2部屋用意し、成長した胡蝶蘭を高温の部屋と低温の部屋にうつす方法をあみだします。

トライアンドエラーから5年。ようやく開花調整を完全に実用化したのです。こうしてやっと胡蝶蘭が一年中に安定供給できるようになりました。

この技術は自社のみにとどまらせることなく、研修にきている他の生産者にも惜しみなく伝え、雑誌を通じて、ノウハウを公開しました。この開花調整の技術は、農業試験場に先んじて、研究し、実用化したもので、現在も胡蝶蘭生産者が開花調整についてわからない時は、森田洋蘭園の書いた開花調整のノウハウの記事をバイブルにしているようです。

現在の胡蝶蘭の栽培はこの技術を採用しており、胡蝶蘭を一年中お客様に、供給できるようになりました。これが今のギフトの胡蝶蘭が成り立つ礎となったのです。

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